今回は世界中でベストセラーを記録し、重版続出の名著、影響力の武器について解説していきます!
本書は、アメリカを代表する社会心理学者、ロバートチャルディーニ氏が『人に対しての影響力』について解説した一冊になります。
本書ではセールスマンや広告主、詐欺師が使っている『人を心を6つの心理トリガー』について解説しています。
本書を読んで得られるメリットは、
『セールスマンの勧誘や詐欺師に騙されにくくなる事』に加え、
『相手から承諾を引き出す方法』が身につきます。
さらに、相手が使ってくるトリガーにかからないように防衛する事も出来ます!
それぞれのトリガーを徹底的に解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
返報性とは?
第一回の今回は、返報性について解説します。
返報性とは、
『何かされたら、何かを返さなければならない』という心理トリガーです。
人との関わり合いについてよく聞く『ギブ・アンド・テイク』ですが、強力な威力を持ったルールになります。
うまく使えば『対人関係の好感度を上げる』事も出来ますが、悪用すると『不平等なやり取り』を強いられることも十分に起こり得る強力なトリガーです。
返報性の厄介なところは
1.嫌いな人からもらった場合でも作用してしまう
2.望んでいない厚意にも作用してしまう
3.譲歩されると断りにくくなる
それぞれがどういうことなのか、具体的に解説していきましょう!
嫌いな人からもらった場合でも作用する
この返報性のトリガーは『嫌いな人からもらった場合でも作用してしまう』んです。
嫌いな人、というのは言い過ぎですが、特に好感を持っていない相手からもらった場合でも作用されるということです。
ここで例題を一つ紹介しましょう。
よくわかる例題
オフィスでの場面
あら、○○君♪
いつもお疲れ様!
今日はバレンタインデーよ♪
いつも頑張っているからあげちゃう♪
そう言って清掃員のおばちゃんが差し出したのは、コンビニで売っている安いチョコの詰め合わせを差し出しました。
ありがとうございます!
大事に食べさせてもらいますね!
その後、退社して・・・
チョコ貰ったのはいいけど
清掃員のおばちゃん、そんなに好きじゃないし・・・
そもそも俺、甘いもの好きじゃないんだよなぁ・・・
ホワイトデーのお返し、どうしよう・・・
人によってはバレンタインチョコを貰えたから嬉しいもの。
ですが、このとき、既にトリガーは引かれてしまっているのです。
このように
・大して好意を持っていないおばちゃんから
・大して好きでもないチョコの詰め合わせを貰った
という状況ですが、男性はホワイトデーにお返しするかどうかは選ぶことが出来ます。
ですが、相手から恩義を受けた時点で、返さなければならない、という心理が働いてしまっています。結果としてお返しの事を反射的に考えてしまいます。
望んでいない厚意にも作用してしまう
この返報性は、『望んでいない厚意にも作用してしまう』という点が恐ろしいのです。
先程のバレンタインの例題もそうなのですが、受け取った男性は『清掃員のおばちゃんからチョコを貰いたい』という状態ではありませんでした。
それでも、受け取ってしまったら最後、『返さなければならない』というトリガーが働いてしまいます。
もう一つ身近な例を挙げると、スーパーでよくやっている試食です。
よくわかる例題
新商品のウィンナーの試食です♪
お1つどーぞー♪
ホットプレートで焼くジューシーな音。
弾ける肉汁と美味しそうな焦げ目。
見ているだけで食欲を刺激されますよね。しかもそれが無料で味を確かめることが出来る!
ですが、食べてしまった時点で、トリガーが引かれてしまいます。
ただで貰う=恩義、と捉えてしまい、何も買わずに通り過ぎる事を悪い事、いけない事だと思わせてしまうのです。それだけの威力を持っています。
譲歩されると断りにくくなる
最後は、『譲歩されると断りにくくなる』という点です。
一見すると、何を言いたいのかわかりにくいと思いますので、筆者のロバート氏が実際に体験した例題を用いて解説します。
よくわかる例題
著者であるロバート氏が路上で10歳ほどの男の子に声をかけられました。
サーカスのチケットを売っています。
1枚5ドルです。いかがですか?
サーカスに興味がない事、加えてせっかくの休日を男の子と過ごすのが嫌だったロバート氏は『いらない』と断りました。
そうですか、わかりました。
それではこっちのチョコバーはいかがですか?
1個1ドルです。
1ドルならまぁ高い買い物でもないし、いいか。
そう思い、2つ買って男の子と別れました。
これで例題は終わりなのですが、返報性のトリガーが引かれていることにお気づきでしょうか?
チケットを売りに来た男の子はチケットを買わないのはいい、じゃあチョコバーはどうか?こちらの方が1個の値段は安いですよ、と言わんばかりに譲歩してきました。
ここで大事なのは、ロバート氏は『チョコバーに大して興味を抱いていなかった』という事です。
相手が譲歩した、次はこちらが譲歩しなければいけない、という心理状態に陥ってしまったのです。
本来、5ドルのチケットを売る、という目的を達成することはできませんでしたが、チョコバーを売って2ドルを手に入れる、という結果を得ることが出来ました。
相手にその気がなかったのに、『買ってもいいか』という承諾の意思を引き出したのです。
当事者にその気がなくても、妥協して Yes を引き出すことが出来る。
そんな恐ろしい威力を持っている力。
それが返報性です。
返報性に従わないとどうなるのか?
ここまでで、返報性は一度トリガーを引かれると、とんでもない威力を発揮してしまうという事はご理解いただけたかと思います。
では、返報性というルールに従わないとどうなるのでしょうか?
ルールに従わない、という事は、何かをしてもらったのに、お返しがない人という事です。
端的に言ってしまうと、社会集団、会社や学校、家族から嫌われてしまいます。もちろん、どうしようもない事情があって埋め合わせが出来ない場合は別です。
ですが、ほとんどの場合は『たかり屋』とか、『恩知らず』というレッテルを貼られてしまいます。更に、この事実から不公平な交渉、交換を持ちかけられる事に繋がってしまいます。
心の不快感+社会集団の好感度が下がる という2つが組み合わさると、心理的に大きなストレスになってしまいます。
冒頭でバレンタインデーの例を挙げましたが、お返しをしなかった場合、どうなるでしょうか?
チョコをくれた清掃員のおばちゃんからは『ホワイトデーのお返しもくれないなんて失礼な人ね!』なんて思われてしまうでしょう。
これがいわゆる、社会集団の好感度が下がる、という結果になります。
そうなったら、今度は『お返しをしなかった』という事実から更に不利な交換条件を持ち出されることになりかねません。
進むも地獄、戻るも地獄とはまさにこの事ですね。
防衛法
ここまでの解説を受けて、こんな事を考えてはいませんか?
ほぼ無条件で発動して、ルールを破れば社会的に嫌われてしまう
こんなの防ぎようがないよ・・・
大丈夫、防衛方法はちゃんとありますよ。
それは、ルールを発動させない事です!
(ドドンッ!!)
先程、進むも地獄、戻るも地獄と言っていましたが、この記事を読み始める前と、今。
決定的に違う事があります。
それは、『返報性というルールを知った、理解した』という事です。
相手の親切を拒否し続けろ、という事ではありません。
相手の親切や厚意を頭ごなしに否定し、断り続けると、どうなるでしょう?
人間関係がギスギスしてしまったり、孤立してしまうでしょう。
大事なのは、
その親切や厚意はただの善意なのか?
それとも何かをあなたから搾り取る算段なのか?
という、相手の意図を読み取る事です。
その為には、普段のコミュニケーションや相手の話し方、態度など。
相手のしぐさをよく見るようになってきます。
一つ例を簡単に挙げると、無料メルマガの登録です。
『副業で1カ月数十万円を稼げるノウハウを教えます!スキル、初期費用、人脈なくても大丈夫!今なら期間限定で無料公開中!』みたいな。
もちろん、全部がそうではありませんが、登録自体は簡単だし・・・。
名前、メールアドレス、携帯番号、パスワード等々を設定し送信。
これは善意や厚意でしょうか?搾り取るための策略でしょうか?
これは、圧倒的に後者です!搾り取る気満々ですね。
無料で情報を与える、という事はこの後に時間やお金を回収する算段があるという事です。
この様に、『相手が自分に対してしてきた事』をよく見極める事。
安直に受け入れずに、その裏にあるものを考えてみると良いです。
まとめ
いかがでしょうか?
知っているようで意外と知らない、返報性というトリガー。
もちろん気心の知れた職場の同僚や家族、友人ならこんな裏側の意図を探る必要はないかもしれません。
ですが、良くも悪くも人は変化するもの。
相手の厚意に対するアンテナを張る能力は磨いておいて損はありません。
ぜひ意識してみてほしいですね。
返報性、という『何かをされたら返さなければならない』という心理トリガー。
ぜひ覚えて帰ってください。
今回はここまで。
また次の記事でお会いしましょう!
ではではっ!
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