一度は耳にしたことのある『働き方改革』というワード。
皆さんは十分に理解していますか?
この記事では

・働き方改革って何?
・なんでこんなのが実行されようとしてるの?
という背景と目的について解説します!
この記事を読む事で働き方改革に対する理解が深まり、
あなたの今の働いている環境が適切か、考えるきっかけになります。
ぜひ最後まで目を通していってください!
働き方改革とは、一億総活躍社会の実現のため
働き方改革を導入するのは
『一億総活躍社会の実現』に向けた取り組みだからです。
一億総活躍社会、というのは、端的に言うと
老若男女問わず活躍できる社会を目指しましょうというものです。
背景:働ける人口の減少ペースが早まっている
では、なぜお年寄りまで
活躍する社会にする必要があるのでしょうか?
その背景には生産年齢人口
(働ける年齢の人口で15~64歳が対象)が
ものすごいスピードで減っている事が挙げられます。
下の図は総務省で統計を取ったグラフになります。
このグラフを見てわかる事は
・2050年には人口が1億人を下回り、約1.5人で1人の高齢者を支える
・14歳以下の人口(出生率)も少しづつ下がっていく傾向
・生産年齢人口(14歳~64歳)が2000年をピークに減少し、
2060年には60%まで減る見込み
こうなってくると
・社会保障制度が維持できない(年金、医療費など)
・日本、という国の生産力が低下していくだろう
という不安要素を解消するために、政府が

この勢いで人口が減ったらまずい!
働けるなら、どんな年齢でも働いてもらわにゃあ!
と気合を入れて働き方改革に乗り出した、というのが
背景になります。
具体的な対策
働き方改革を推進するのは、
『生産年齢人口が猛スピードで減っていくから』という背景が
ある事は分かりました。
それに対して、どのような対策を立てようとしているのか?
1.女性や高齢者といった働き手を増やす
2.出生率を上げて、将来の働き手を増やす
3.労働生産性を上げて、少ない人数でも効率よく働く
といった感じになります。
1は働ける人に働いてもらう
2は子供を産みやすい環境を整えて将来の働き手を補う
という事になるので分かりやすいかと思います。
3については、補足が必要なので説明します。
公益財団法人 日本生産性本部によると、日本人の1人辺りの生産性は
OECD(経済協力開発機構)に加盟している36か国中21位で
主要先進7か国(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の中で最下位、という状況です。
と、いうことは、国民一人から生まれるお金が先進国の中で
一番少ない、という事になります。
そんな中で生産年齢人口が減り続ければ、
生産性は下がる一方でしょう。
そこで、効率よく働く仕組みを作って、
もっと生産性を上げよう、という事です。
ここまでの話をまとめると
労働力不足という課題を解決させて、一億総活躍社会の実現の為には、
1.働き手を増やす
2.出生率を上げる
3.労働生産性を上げる
以上の3点に取り組むのが働き方改革、という事になります。
働き方改革の最重要課題 3つ
働き方改革の概要は上記の通りですが、
これらを実現させるために解消すべき3つの最重要課題があります。
・長時間労働の解消
・非正規と正社員の格差是正
・生産労働人口の増加(高齢者の就労促進)
それぞれの課題について掘り下げていきます。
1.長時間労働の解消
日本は2013年に国連から
・多くの労働者が長時間労働に従事
・過労死やハラスメントによる自殺が発生する事を不安視している
という勧告(対策を立てるよう促す)がありました。
長時間労働の問題点は下記の通りです。
・上長からの命令を拒否すると非正規やパートなどの
雇用形態で働くことを余儀なくされる
・仕事している時間が長くなるため、子供を産みにくい
→女性のキャリア中断や男性の育児、家事参加が難しい
以上の事から法改正による時間外労働の上限規制を進めることになりました。
本来、1日8時間、もしくは週40時間を超える労働が必要な場合には、
労使協定書、いわゆる『36協定』が必要になります。
(残業や休日出勤がこれに当たる)
超えるにしても無限に働いていいわけではなく、上限が設けられています。
1カ月:45時間
1年:360時間
まで残業させてもよい、というものです。
ところが、『特別条項』という条件を労使協定書に付け加えると
無限に残業できてしまう、というのが現状の問題点です。
そこで、特別条項付きの部分の法律を見直そう、というのが
今回の働き方改革での取り組みになります。
具体的には
1カ月:100時間
2~6カ月平均:80時間
へと変更となります。
また、大企業では、50時間以上の残業をした場合、
以後の賃金割り増し率が50%に引き上げられます。
つまり、長く働かせれば働かせるほど、人件費がかさむようになりました。
2.非正規雇用と正社員の格差是正
厚生労働省の賃金構造基本統計によると、正社員と非正規社員の賃金を比較すると約60%程度しかもらえていない、というデータがあります。
介護や育児に勤しむ女性や高齢者となると、正社員のように
何の制限もなく働き続けるのは体力的にも時間的にも難しいでしょう。
結果的に、『非正規』での働き方を選ぶしかなくなり、
より活発に働く、としたときにその機会がなくなってしまいます。
こちらの図からも分かる通り、非正規雇用の割合は年々上昇しています。
2014年には40%に達しており、ほぼ2人に1人は非正規雇用、というのが実情です。
この現状を打開するための方策として
・非正規雇用労働者を正社員登用できるようキャリアアップの推進
・同一労働同一賃金の実施に伴う法制度とガイドラインの制定
・最低賃金のアップ(1,000円/時間まで引き上げる方針)
この中でも目玉の一つとされているのが
『同一労働同一賃金』です。
これは、『同じ付加価値を与える人には同じくらいの給料を支払いましょう』というものです。
ベテランの非正規労働者の方が新卒正社員より給料が安い。
こんな状態の場合、是正対象になる、という事です。
よく言えば、『仕事を頑張れば貢献度に応じて昇給できる』です。
昇給になれば、消費が促進され、経済活動も活発になります。
そういった狙いもあるようです。
3.高齢者の就労促進
平成29年の内閣府の調査で高齢者の就労意識に関する調査がありました。
下のグラフを見ると、実に40%以上の高齢者が
『働けるうちはいつまでも』働きたい、と回答しています。
また、『70歳まで、もしくはそれ以上』の回答も含めると、
約80%にも上ります。
出典:内閣府 高齢者の就労状況
これだけ就労意欲があるならば、という事で下記のような方策が挙げられています。
・定年延長・継続雇用延長の支援
・高齢者のマッチング支援
65歳以上の継続雇用の延長や、65歳まで定年を延長する企業への支援が必要になります。
また、高齢者の再雇用支援や就労に当たるマッチングの支援も必要になるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
知っているようで意外と知らない、『働き方改革』の
背景や目的について理解してもらえたと思います。
働き方改革の背景には
『生産年齢人口の減少』があります。
この課題を解決するために
・長時間労働の解消
・非正規と正社員の格差是正
・生産労働人口の増加(高齢者の就労促進)
以上3つの最重要課題をクリアしなければなりません。
その為の方策が『働き方改革』という事になります。
既に実施されている方策などもありますが、
皆さんが働いてる職場でどんな変化点が出ているのか?
是非、一度考えてみてください。
今回の記事はここまで!
また、別な記事でお会いしましょう!
ではではっ!
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